環境コンサルティングサービスの一つになっている「廃棄物管理状況の監査サービス」。全国の事業所や工場に対応し、フォローアップも含め定期的に監査してほしいとご依頼を受けることもあります。
本記事では、この監査サービスが生まれた背景や特徴、さらにリスクマネジメントをサポートするコンサルティング会社としての私たちの考えを紹介していきます。
初めに、監査サービスがどのようなものかを紹介します。サービスの概要をご確認いただくと、本記事の内容をよりイメージしていただきやすいかと思います。
<廃棄物管理状況の監査サービス>
【ポイント】
・お客様の事務所や工場に伺い、廃棄物の適正管理にまつわる各種書類や現場を網羅的にチェック
・専門家によるチェックで潜在的なリスクも含め抽出
・1日で完結するスケジュール(※規模によっては2日以上のスケジュールを提示します)
・監査報告書と報告会で改善事項を明確化
・フォローアップ
廃棄物の適正処理及び管理に必要な、委託契約書、マニフェスト(紙・電子)、行政への提出書類(県外搬入届等)、実地確認記録などの書類を網羅的に、かつ、コンプライアンスの観点から専門のスタッフがチェックします。
また、保管場所等の現場確認も行います。各監査項目を法的観点から3つのレベルで評価し、どこに、どの様な問題があるかを明確にし、監査報告書にまとめていきます。
監査報告書の提出と、監査報告会を行い、細かい指摘事項に合わせて、全体としてどんなリスクが潜んでいるのか等、お客様の課題もお伝えします。監査後はフォローアップを行い、改善活動をサポートします。
監査サービスが生まれた背景
企業から排出される廃棄物の処理委託先をマッチングする『廃棄物の適正処理サービス』を提供していく中でいただいた、あるお客様の声がきっかけでした。
本社環境部門の責任者の方から「各工場で管理はしてもらっているけど、どこかにリスクが潜んでいる気がする…。コンプライアンスの面でしっかり管理をしたい。でも、どうしていけばいいか分からない」という課題を伺ったのがきっかけです。廃棄物管理に関して、お客様から疑問などがあれば、都度、応えてはいました。しかし、管理体制そのものを見直す提案をするとなると、これまで伺っていた断片的な情報だけでは不十分でした。
まずは現状把握をしなければ問題の根本解決にはならないと考え、『監査サービス』の開発が始まりました。
プロとして、新たなサービスを創る
当時のイーバリューには、適正管理に必要な法律知識はもちろん、実務や処理会社事情等の知識やノウハウはもっていました。ただ、それらを「監査」というサービスに変換して提供する必要があったのです。そこで、他の業界の監査や評価サービスにまつわる情報を収集し、社内でもISOの環境管理責任者や事務局の経験者、JACOの内部環境監査員の資格取得者を中心にチームを組みました。
監査をするからには、コンプライアンスの観点からリスクが抽出され、そのリスクが客観的かつ法的根拠を押さえて評価される必要があります。さらに、その評価項目は納得性のあるものでなければなりません。これらを実現するメソッドを作るために、ミーティングを重ね、監査項目や手順の決定、チェックシートや監査報告書等の作成を行いました。
また、サービスとしては、お客様の手間や負担をいかに減らすかも重要です。1日で監査を終わらせ、工場内の排出現場確認等もスムーズにする必要があるため、監査スタッフはチェックに正確性とスピードが求められます。抜け漏れのない適切な指摘を全メンバーが行えるように標準化した手順を確立し、高いレベルで習熟しなければなりません。事前研修に加え、時間を計測しながらシミュレーションを何度も行いました。
新しいサービスを開発すること自体、難しい局面は多々あります。それに加え、この監査サービスは企業のコンプライアンスをチェックし、評価するものです。廃棄物管理という分野に限るものではありますが、責任は重大であり、お客様が納得し、満足できるものでなければなりません。「サービス内容は十分か?プロとしての品質に達しているか?」を問いながら、創りあげていきました。
イーバリューの監査サービスの特徴
指摘事項を探すのではなく、問題の根本を見つける
私たちが行う監査は、単に不備やリスクを指摘するものではありません。その問題が、何が原因で起きているのかを見つけ、改善方法の提示まで行います。法律論や机上論だけではなく、実務を踏まえた改善提案です。それは、この監査サービスがお客様のリスクマネジメントをサポートするサービスであると捉えているからです。
書類のチェックだけでは問題の根本原因を特定するのは難しく、最適な提案を行うことができません。社内手順や契約締結時の経緯など、書類に留まらず様々な情報をヒアリングすることで、原因を探っていきます。加えて、リスクを抱えやすい状態になっていないか、管理責任者の業務負荷になっていないかなども確認します。
適切な方法で、継続できる仕組みをつくる
私たちは「コンプライアンスを向上させたい」「リスクマネジメントを強化したい」そんな課題を抱えたご担当者様を解決に導くサービスとなることを目指しています。そのため、1回監査をして報告書を提出したら終わりではありません。監査報告会を設け、報告書をもとに抽出されたリスクのレベルや起きている原因、是正方針等をすり合わせていきます。是正を進める中でフォローアップも行い、社内手順の改定や契約書の雛形作成、場合によっては指摘事項が見つかった全ての契約書について、修正案を作成・提出することもあります。ご要望があれば定期的に行うことや、全国の拠点を順々に監査することもします。
「多くの指摘事項が見つかったけど、何から手を付けたら良いか分からない…。忙しい中で着手する余裕がない…。」という状態では、せっかくの監査が無駄になってしまいます。リスクマネジメントは単発的にテコ入れをするだけでは意味はないと私たちは考えています。まず、適切な改善方法で是正し、そしてそれを継続できているかが重要です。イーバリューの監査サービスがフォローアップまで盛り込んでいるのは、この様な考えがあるからです。
お客様の声
廃棄物処理状況の監査サービスをご利用いただいた、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 九州製造所 マネジャー 野口 一斉 様に、インタビューをさせていただきました。
なぜ、イーバリューの監査を受けようと思われましたか?
当時、グループ会社の合併にともなって、産廃契約書の見直しをしなければいけないと考えていました。その時に、(担当コンサルタントの)水野さんから監査の紹介があり、ちょうど良いタイミングでした。
監査で今ある姿を一度チェックしてもらうことで、合併後の契約書の管理や再締結等も上手くいくのではないかと。その方が効果的だと感じました。
他社と比較検討しましたか?
検討はしました。資料等で色々と条件を見ていく中で、イーバリューさんは短期間で効率よく行うのが良かったです。複数名で来社して、実際に現場を見ていただいて、全てを一遍にチェックしてもらえるのがメリットとしてありました。
他社は書類を送ったり、webでやりとりをしたり…で時間がかかりそうだったのと、”実態”を見てもらえないのではないかと思いました。そういった点でお願いして良かったです。
実際に監査サービスを受けてみてどうでしたか?
監査当日の印象はどうでしたか?
当日は別の業務があり忙しかったのですが、イーバリューさんに任せていたら全てが完了していた、という感覚でした。こちらの手間はかからなかったです。任せておいて良かったなと思いました。
報告書の内容など、専門性や分かりやすさについての印象はいかがでしたか?
監査後に、監査報告書の中身について、事前に指摘事項や表現などをすり合わせることができたのも良かったです。お互いに合意を取りながら進められたので安心感がありました。
契約書については、私がずっと一人でやってきて、初めて外部の人が見るので相当抜けているものがあるのでは…と思っていたんです。報告書の内容から、そこをきちんと細かく見てもらえているなという印象でした。
正直、評価で厳しく書かれているものもありました。ありましたが、一人では気づかなかったところだったので、逆に良かったです。
監査後の社内における改善活動はいかがでしたか?
監査報告書できちんと指摘してもらえたので、それをもとに根拠をもって各部門に指示が出せました。例えば、廃棄物置場も現地で見てもらっているので、しっかり指示することができました。書面でもらったので言いやすかったですね。
取り組む優先度も報告書のランクに応じて対応でき、指摘事項の改善もできました。
契約書の管理については全て自分で…という意識が強かったですが、定期的に見てもらえば、気づかなかった間違いやミスを防げると感じました。特に弊社の場合、契約本数が多いので、そこを上手く管理していくにはイーバリューさんのようなコンサルティングを活用するのが良いのかなと思いますね。産業廃棄物の担当は、なかなか増やすことも出来ないですから。
時代のニーズに合ったリスクマネジメントをサポート
廃棄物管理の方法は企業によって様々です。監査サービスでは、企業ごとに異なる実務の現場と法知識を照らし合わせて確認し、評価することが必要となります。
どんな現場でもそれに対応できる知識・ノウハウを私たちが更新し、持ち続けることが重要であると考えています。そして、お客様のリスクマネジメントを強化するために、根本的な課題を見つけ、どのような改善が必要かを提示すること。それが、監査を行う専門家として求められていると認識しています。
コンプライアンスが重視される昨今、お客様も社内(自社)に潜むリスクに以前より敏感になってきています。私たちは時代のニーズに合わせて、それらに応えていきたいと考えています。