少子高齢化による労働力不足や多様性が注目され続けている中で、女性活躍推進法の改正も行われるなど、女性のさらなる活躍が求められています。ただ、現状は女性の約5割が出産・育児により退職しているというデータがあります。さらに、政府が2020年までの目標として掲げていた「指導的地位に占める女性(管理職)の割合30%」は、現在も未達成となっています。
一方、イーバリューでは、正社員の女性の割合が半数を占め、女性管理職の割合も38%と平均を大きく上回っています。この記事では、それらを実現できる理由や、産前・産後の働き方、実際の社員の声について紹介・解説しています。
性別にこだわらない採用と業務配置
イーバリューでは、毎年4~10名程度の新卒採用を行っています。直近5年間の男女は以下のようになっており、やや女性を多く採用する結果となっています。
2018 男性2名 女性3名
2019 男性5名 女性3名
2020 男性1名 女性3名
2021 男性1名 女性3名
2022 男性2名 女性5名
内定者時代や入社直後の同期間のコミュニケーションを考えると、バランスを取りたいところではありますが、実際の採用の場面において、性別で合否を決めることは一切ありません。
加えて、入社後の業務配置について、性別ではなく本人の特性によって業務を決定します。業界として男性が多く、女性が珍しい職種でも本人の適性があれば、その業務を任せていきます。
例えば、イーバリューの事業の一つである環境コンサルティング。男性が多い環境業界で、営業職(コンサルティング職)として働く入社2年目の女性社員がいます。彼女の取り扱うサービスでは、パートナー企業との折衝や、お客様に対してもリスクマネジメントや法令の遵守に関するアドバイスが必要となります。その相手方は40~50代の男性がほとんどです。こういった特性上、イーバリューでも男性社員が多いポジションではありましたが、ポテンシャルを認められ、プロジェクトに参加後、営業職として必要な知識・スキルを身につけ、営業に関する成績で経年が1年上の男性社員の目標件数を超えるほどに成長しました。
このように、大前提として男性と変わらず評価されるため、昇進・昇格という場面でも、候補者として名前があがり、管理職として新たなステージで活躍します。
一方で、インターネットやSNSでは就活における男女差別のコラムや投稿が並んだり、「営業は男性しか採用していない」と言われたと話す女子学生がいたりします。男女雇用機会均等法で性別によって採用人数を設定したり応募の条件に性別を入れたりすることは禁止されていますが、実状ではまだまだ対応が不十分なところが見受けられるようです。
産休明け、新規事業のプロジェクトリーダーへ
仝 麗華
二児の母。二人目の育児休業から復帰後、半年弱で新規事業を提案し、プロジェクトリーダーに。現在は、グループ会社にて総務や企業の法令順守をサポートする業務を担当している。
特性を生かした業務という点では、産後も例外ではありません。二人目の育児休業から復帰後、半年弱で新規事業を提案し、プロジェクトリーダーになった社員もいます。本人に当時について、話を聞きました。
産休・育休期間の後、復帰すると会社の変化にびっくりしました。約1年半でこんなにも変わるなんて!と。追いついていこうというワクワク感もあった一方で、浦島太郎のような状態でした。ただ、休業中も、イベントや職場に顔を出してコミュニケーションをとっていたこともあって、メンバーとの距離感や信頼関係は変わらず、すぐに馴染むことができました。また、業務内容については、休業前に行っていた仕事の中で簡単なものから担当しました。できることから始めることで、自信がつき、新規事業の提案もできたのだと思います。新規事業のプロジェクトが始まってからも、9時に出勤し、16時に退社するという時短勤務でしたが、出張などがある日は、フルタイムで働いていました。
現在、そのプロジェクトは終了しましたが、どのチームで仕事をしていても、周囲のメンバーのサポートや理解があって仕事がしやすいと感じます。平日に学校行事があって有給をとったり、子供の発熱などで急な保育園へのお迎えがあったときにも、翌日に「昨日は大丈夫だった?」と声をかけてくれたりする。そんなメンバーがいるから、仕事で挑戦するという選択ができたんだと思います。
このような柔軟な対応は、産前も同様です。若手メンバーで初めての産休・育休を経験した社員に話をききました。
里帰り出産に向けてテレワーク
山口 明子
若手メンバーで初めての産休・育休を経験。休業前は、人材サービスプロジェクトでの業務や、クリエイティブ制作を担当。里帰り出産時には、実家からテレワークを行い、その後、22年1月に第一子を出産。
妊娠中、体調が悪くなることが増え、急遽お休みをいただくことが多くなったタイミングで業務を変更しました。それまでは、納期が短かったり、対応する際にプロジェクトメンバーと急ぎの打ち合わせが必要になったりする業務も担当していたのですが、納期に余裕があり、テレワークがしやすい業務へと変更になりました。テレワークに切り替えたことで、通勤電車に乗らなくてよかったのが、本当に助かりました。友人の話やSNS上では、妊娠をしながらの仕事に対して、嫌な顔をされたり、嫌味を言われたりということもあるようですが、全くないですね。むしろ、子ども関係の話題が増えたり、同期や女性だけでなく、男性の先輩社員の方からも「大丈夫か?無理せず、必要なら帰りなよ」と声をかけていただいたりしました。
里帰り出産をした際も、産休までの期間、実家からテレワークをさせてもらいました。周りの方々のサポートのおかげで無事に出産することができたので、次の社内イベントで娘を連れて、皆さんにお会いできるのが本当に楽しみです。少し先の話ですが、復帰した後はまたバリバリ働きたいと思っています。
この二人の他にも、出産を控えている社員からは、「仕事をしたいという気持ちがある中で、妊娠に伴う体調不良があり、休むべきか葛藤しているとき、『今、君のやるべきことは?』と言ってもらえて、休む決心ができた。先輩社員が自分以上に自分とお腹の子どものことを考えてくれた。妊娠報告した後にも、みなさんが喜んでいるし、応援してくれているのが良く分かって、本当に家族みたいな関わりをしてくれていると感じた。」というコメントもありました。
インタビューからも、性別や経年関係なく出産や妊娠に理解があり、サポートする姿勢があること、業務や出勤方法などを柔軟に変更していることが分かると思います。
「仲間の人生のステージを応援する」という価値観
このような環境があるため、もちろん家庭の状況にもよりますが、出産後も復帰前提で考えている社員がほとんどです。女性社員の妊娠や出産だけではなく、男性社員についても、出産への立ち合いや入学式・授業参観・運動会などの学校行事への参加、家族の病気などの理由で平日に休みをとったり、テレワークをしたりすることも多くあります。
また、冒頭の事例のようにイーバリューでは、男性が多い業界の営業であったり、プロジェクトリーダーや管理職などの一昔前には、女性が少なかったようなポジションであったりしても、当たり前のように女性が活躍しています。これらはごく普通のこととなっており、社内で改めて「女性活躍推進」の活動はしていません。性別問わず、それぞれの特性に合った業務を行うことが浸透しています。
このような働き方ができるのは、互いの人生を応援し合うという価値観があるからです。イーバリューの価値観をまとめた“クレドブック”(“クレドブック“についてはこちらの記事で紹介しています)に記載されている項目を引用します。
人生のステージによって働き方は変わる
マインドNo.77「人生のステージによって働き方は変わる」 (クレドブックより)
「私は、今はとにかく仕事で成長する時期だ!」
「私は、今は仕事と子育てを両立したい」
「親の介護が始まった」
ライフスタイルは、人それぞれ、その時々に変化するもの。
ともに、仲間の人生のステージを応援し合おうではないか。
無論、「個人のワガママを通す」という意味ではない。
全ては「長く気持ちよく働きあえる」ために。
イーバリューでは、仕事とプライベートを一つのものととらえる“ライフワークブレンド”という考え方をしています。社員の仕事の要素だけを見るのではなく、プライベートの状態を踏まえた上でどのような業務内容や役割が適切かを考えます。
例えば、テレワークという言葉が一般的になるよりも前、2015年に子育て中の社員に対して、社内SNSでコミュニケーションをとりながら、遠隔で業務を依頼するという形式も行っていました。
このような話をすると、単に“社員に優しい会社”と認識されることがありますが、それは少し違います。働き方を人生のイベントやライフステージによって柔軟に変えていきますが、何でもOKというわけではありません。会社が掲げるビジョンや会社から期待されていることと、自身の人生のビジョンや理想の働き方をすり合わせる必要があります。
価値観にある『無論、「個人のワガママを通す」という意味ではない。全ては「長く気持ちよく働きあえる」ために。』というのはそういった考え方を指します。
まとめ
労働人口が減少していく中で、優秀な人材を確保していくことが必要になっていきます。
そのためには、制度はもちろん、根本にある価値観から柔軟な環境を整える必要があります。お互いの人生を心から応援し合いながら、管理職としても、プレイヤーやその他の役割でもその時の自分に合った形で会社に参加できる。なにより、「仲間の人生のステージを応援する」という価値観がある。そんな会社こそ、女性に限らず人生100年時代で長く働く私たちに求められているのではないでしょうか?