「社内の人間関係をよくしたい」「部門間の連携を良くしたい」など、社内のコミュニケーションに関して、課題を抱えている企業は多いのではないでしょうか?
これらを解決するために、様々な考え方やツールがあります。今回はその中の一つの「“非公式”のコミュニケーション」について紹介していきます。企業にとってどんな役割を果たしているのか、また弊社での取組み事例などもお伝えしていきます。
社内コミュニケーションは大きく2つ
そもそも「社内コミュニケーション」とは、何を指しているのでしょうか?すぐに思いつくのは、会議や報連相などの、仕事に密接して関係するコミュニケーションだと思います。これらは業務を行う上で必要な「公式のコミュニケーション」と呼ばれるものです。
一方、業務には関係のない自然発生的なコミュニケーションが「非公式のコミュニケーション」です。通勤途中や休憩中の雑談、飲み会、社内のクラブ活動等もこれにあたります。仕事とはあまり関係しない“緩い”やり取りです。
この2つのコミュニケーションのバランスが、会社の雰囲気や人間関係等に大きな影響を与えていると言われています。
社内コミュニケーションに課題を感じている企業は7割超
HR総研による「社内コミュニケーションに関するアンケート2021」では、規模に関わらず7割を超える企業が、「社内コミュニケーションに課題を感じている」と答えています。
社内コミュニケーションが不足すると、一般的に次のような問題が発生してきます。
・上司部下、部署間で連携が取れず、業務が円滑に進まない
・業務中に気軽な相談や質問等ができない
・人間関係を理由にした離職が増える
コロナによって対面で話す機会だけでなく、そもそもコミュニケーションをとること自体が減り、これらの問題に悩まれている企業も多いと思います。また、コロナ禍の状況に慣れていくにつれ、このままコミュニケーションが希薄な状態が続いていいのだろうか?と疑問を抱く方の声も耳にします。
非公式のコミュニケーションが課題を解決する
社内コミュニケーションにまつわる課題を解決する方法の一つとして重要とされているのが、「非公式のコミュニケーション」です。業務に直接関係ないように見えるこのコミュニケーションが活性化することで、組織に様々なメリットがあるといわれています。
1:相手の人となりが分かる
業務に密接する話の場合、部門や上司・部下等、それぞれの立場を意識したコミュニケーションに終始します。一方、休憩中の雑談や飲み会等の非公式のコミュニケーションの場合、多少の意識はありますが、相手の価値観や考え、日常を知ることができ、社員同士の距離が短くなります。怖いと思っていた上司の家庭での意外な一面を知った時に、急に親近感を持つといったこともあると思います。
2:組織として一体感が生まれる
お互いの人となりや考え方などを知ることで、年の近い同僚だけでなく、上下の関係も含め「つながり」を持つことが出来ます。そうすることで組織として一体感が生まれることが期待できます。社員の所属意識やエンゲージメントも高まることもメリットとなります。
3:新しいアイデアや建設的な意見が出やすい
緊張感のある会議や報連相とは違い、非公式のコミュニケーションは、緩く、リラックスした状態であるため、柔軟な発想で新しいアイデアが生まれやすくなります。上司・部下の間柄であっても意見交換もしやすくなります。
4:『心理的安全性』の向上
上記1~3の効果を得るにつれ、組織の『心理的安全性』が高まっていきます。心理的安全性が高まることで、上司・部下や部署間の情報共有がスムーズになり、仕事の生産性が上がります。質問や相談がしやすくなるので、思わぬミスやトラブルも回避できます。自分が安心して働ける環境であることは、組織への愛着心を高め離職を防ぐことも期待できます。
非公式のコミュニケーションを活発化させるには?
代表的なのが飲み会や食事会ですが、2021年の日本生命保険の調査によると「飲みニケーションは古い」と考える否定的な意見は6割にもなっています。
特に多い理由が「気を使う」「仕事の延長と感じる」等です。さらにコロナの影響で、コミュニケーションを取る場が減り、「むしろ、このままの方が良い」といった不要派が増加しています。
しかし、先に述べたように「非公式のコミュニケーション」がもたらす組織への効果は大きく、上手く活用していけるよう働きかけることが重要です。そうすることで、生産性を上げて利益を増やすことや、優秀な人材の確保を可能にし、企業として成長し続けることができます。
イーバリューの「非公式のコミュニケーション」を活性化する取組み
私たちが非公式のコミュニケーションを大事にしている理由
懇親会や社内イベントだけでなく、日常の雑談などのコミュニケーションも大事にしています。その大きな理由の一つに、社員にとって職場を「働くだけの場」「生活費を稼ぐ場」ではなく、「やりがいのある場」にしてほしいという考えがあるからです。
「やりがい」は、自分の能力・実力を発揮して、周りやお客様に喜んでもらうことで得られるものです。職場を「やりがいのある場」にするには、社員同士が良好な関係を築き、心理的安全性を高め、情報共有や意見交換をスムーズにすることが必要です。
そして、新しいビジネスのアイデアやソリューションへと繋げていかなければなりません。これらの土台をつくるために、私たちは非公式のコミュニケーションを重視しています。
イーバリューの取り組み事例
非公式のコミュニケーションを活性化するために、実際に行っていることをご紹介します。
フリーアドレス制の採用
固定の席を決めず、全社員がフリーアドレスで仕事をします。その日の業務内容や気分によって、自分で席を決めます。もちろん、途中で自由に席を移動することも可能です。前日と違う席に着くことがルールの1つとなっています。毎日違う場所で、異なるメンバーの横で業務をすることで、経年や業務内容に関係なく、様々なメンバーと話すきっかけになります。
リフレッシュスペースの設置
コーヒーマシーンを置き、社員がリラックスして集まれる場所をオフィス内に設置しています。外を眺めながら自由にコーヒーを飲むことができ、休憩しながら雑談できる環境を整えています。
ワーキングスペースでの雑談推進
ワーキングスペースにおいても、雑談を推奨しています。雑談からアイデアがうまれたり、異なるプロジェクトに所属しているメンバーとの情報共有にもつなげたりしています。行き過ぎた無駄話はNGですが、業務にメリハリをつけながら“緩い”コミュニケーションを取ることも大事にしています。
お花見、BBQ、表彰式等、様々な社内イベントの開催
社内イベントは、毎年力を入れて行っています。コロナにより頻度が多少減った分、1回のイベントを大事にし、盛り上がるようにしています。また、社員だけではなく、社員の家族も参加可能なイベントも企画。どんな職場でどんな人達と働いているのか?を家族に見てもらう場としても活用しています。
社員同士や社長との飲み会
雑談を推奨しているとはいえ、将来のビジョンや目標、仕事への考え方などの価値観レベルの話は、業務中にはなかなかできません。そのため、お互いのことを深く知り合うような話は、食事会や飲み会、勉強会の休憩時間などのリラックスした場で、じっくりと話すことが多いです。
社内のランニングサークル「ランナーズ・ハイ!」
参加自由のランニングサークルでは、社内SNSを使いながら日々の個人練習の結果等を共有しています。サークルメンバーでマラソン大会に出場したり、練習会を企画したりもしています。こうした活動により、経年・業務が全く違うメンバーが話すきっかけになっています。
クレドブックを用いた「非公式のコミュニケーション」に対する考え方の浸透
クレドブックとはイーバリューの会社の考え方・価値観・行動規範をまとめた冊子で、社員全員が保有しています。非公式のコミュニケーションへの考え方も記載し、朝礼や社内研修を通してこれらを理解できるような工夫をしています。
まとめ
企業が抱える課題は様々ですが、社内コミュニケーションにまつわるものは共通であり、その割合も大きいと思います。一見、業務に関係のない「非公式のコミュニケーション」が、組織力を強化し仕事の生産性を上げ、人材を定着させ、会社に利益を生み出します。
コロナにより私たちのコミュニケーション方法は大きく変わりました。その中で、自社はどうしていくか、何から取り組んでいくかを改めて考える必要があるのではないでしょうか?