少子高齢化や経済低迷の影響で、人材の確保が難しい世の中。こうした状況から、社員一人ひとりの生産性を高めたり、いきいきと長く働いてもらえる仕組みが求められています。
その取り組みの一つとして、注目されているのが健康経営。大企業を中心に導入を検討したり、実際に取り入れ始めている企業も増えています。しかし、「具体的な取り組み方法が分からない」「どのような効果があるのか分からない」という方もまだまだ多いと感じています。
実は私たちイーバリューも健康経営を取り入れている企業の一つ。そこで、本記事では私たちの取り組みを紹介するとともに、健康経営とはなにか、どのような効果があるのか、を紐解いていきます。
1:健康経営とは、“経営”の視点で健康に取り組むこと
そもそも健康経営とはなんでしょうか?経済産業省によると、以下のように定義付けられています。
「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。
簡単に言うと「社員の健康活動を、経営的な視点で実施する」「その結果、会社にとってもさまざまな良い効果があります」ということ。ここで特に注目したいのが、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践するという点です。
経営というからには、「投資」と「リターン」を考える必要があります。なので、単に社員に対して「運動してくださいね」「カラダに良いものを食べてくださいよ」と促すだけでは、健康経営とは言えません。
どれくらいの時間とお金を使い、どれくらいの効果を出すのか。会社全体を通して施策を考え、実施することで、初めて“健康経営”と呼べるのです。
また、健康経営に取り組む企業には認定制度があります。これは経済産業省による制度で、取り組み内容や成果から「健康経営優良法人」として認定されるというもの。私たちイーバリューも、「健康経営優良法人2019」「健康経営優良法人2020」と、これまでの取り組みから認定をいただいています。
健康経営優良法人とは?
「健康経営優良法人認定制度」とは、健康経営に取り組む企業等の「見える化」をさらに進めるため、上場企業に限らず、未上場の企業や、医療法人等の法人を「健康経営優良法人」として認定する制度です。経済産業省が制度設計を行い、日本健康会議が認定しています。
2:なぜ健康経営を取り入れるの?理由と3つのメリット
企業が健康経営に取り組むきっかけはさまざまですが、私たちイーバリューでは代表・水野の実体験が大きく関係しています。それは以前、東京にある別会社に勤務していたときのこと。バリバリと仕事に打ち込む社員が多い反面、働き盛りである30〜40代社員の多くが健康に問題を抱えていたそうです。
20代〜30代前半では多少無理ができても、年齢を重ねるごとにごまかしは利かなくなります。どんなに仕事を頑張っても、身体を壊してしまったら意味がない。そう考えた水野は、自身の会社では若いうちから健康活動に取り組むことで、いきいきと、かつ長い仕事人生を全うできるよう、健康経営を取り入れたそうです。
それでは続いて、健康経営を取り入れるとなにが良いのか?どんなメリットがあるのか?先ほどの経済産業省の文脈に沿って見てみましょう。
2-1:心身の健康
肥満やメタボリックシンドローム、生活習慣病といった病気への対策となります。特に社会人は加齢により、「なにもしなくても年々太ってしまう」というケースも少なくありません。疾患により、仕事に支障をきたしたり、最悪の場合、働くことが難しくなることもあります。
また、身体を動かすことにより、活力の向上や活力低下の予防になります。さらに睡眠の質の向上、「うつ」対策といったメンタルの向上にも効果が期待できます。
2-2:生産性の向上
次に挙げられるのが生産性の向上です。身体の不調によってパフォーマンスが低下する、集中力が下がる。その結果、残業や長時間勤務となってしまうことも考えられます。
健康経営に取り組むことで、個人のパフォーマンスが向上していく。その結果、効率良い働き方ができ、労働生産性が高まっていく。さらにそれが良い業績を生み出していくというように、好循環のサイクルが生まれていきます。
2-3:組織の活性
健康経営は、個人だけではなく、組織やチームにも良い影響が期待できます。個人が健康的にいきいきと仕事に取り組んでいると、周囲や全体の空気にも影響を与えるからです。
また、会社全体で取り組むことにより、共通の話題やコミュニケーションのきっかけを生み出すこともあります。特に業務においては、何気ない会話やコミュニケーションが仕事に影響を与えていることも少なくないはずです。
健康経営に取り組むことには、決して個人の健康を推進するだけではなく、会社全体を健全化していくという効果もあるのです。
3:実際の取り組みとは?イーバリューの施策「健康マイレージ制度」
では実際に、どんな取り組みがあるのでしょうか?代表的な施策としては、以下のものが挙げられます。
・ノー残業デー
・禁煙推進
・メタボリックシンドロームなどの対策
・メンタルヘルス研修、ストレス対処研修
・健康診断、健康指導 など
働き方改革により、ノー残業デーといった勤務時間に直接作用させる施策を取り入れる会社も少なくありません。また、セミナーやe-ラーニングを用いて研修を行う企業も増えているそうです。
その中で、私たちイーバリューは「健康マイレージ制度」というものを実施しています。これは、日々の取り組みを可視化し、ポイントに換算する、というもの。ポイントとして換算するのは大きく分けて2つです。
・運動:ランニングやその他の運動をする
・食事:野菜中心の食事を取る
例えば、ランニングで5km走れば5ポイント、健康的な食事を取ったら2ポイント、といったように振り分けています。しかし単にポイント化する、というわけではありません。この施策の運用において、さらに重要な2つの点をご紹介します。
3-1:チームで競争する
社員を4つのチームに分け、合計点でチームごとに競う、という仕組みで運用しています。また期間を1年間とし、合計点の最も高いチームは年1回の表彰式で発表しています。
このように個人での取り組みではなく、チーム全体での取り組みとすることで、ゲーム性や参加意識を高めています。
また、このチームは部署や業務内容とは関係のない、いわば健康経営を実施する専用のチームとしています。これにより、業務では関わりがなく、なかなか話すきっかけがないメンバー間でも、コミュニケーションを生み出すことができるのです。
ただし、注意したいのは、あくまでも自発性や本人の意識が最も重要だということ。強制的な取り組みには持続性がなく、また反発も招きかねません。私たちイーバリューでは、あくまで強制ではなく自主参加とし、やりたくない人は実施しなくてもよい、というスタンスを前提としています。
3-2:社内SNSで共有する
運動を行ったり、健康的な食事を取った場合、社内SNSにて共有する仕組みにしています。これは単に報告の場、というわけではありません。誰が運動をしたかが分かることで、お互いを刺激し合ったり、共通の話題を生み出すなど、組織や相互の影響を想定しています。
長く続けるためには、仕組み化することが大事ですが、個人の中で完結するのではなく、チームとして機能する仕組みにすることも大切です。
4:社員に聞く、健康経営の効果とポイント
会社や経営者が積極的に取り組んでも、社員がついていかない、もしくは形骸化してしまったら意味がありません。イーバリューの社員は、日頃どのような想いで取り組んでいるのか、実際に話を聞いてみました。
4-1:横尾匡則の場合(入社3年目)
− 取り組んでいることは?
基本は走ったり、先輩と一緒にサッカーをしたり、自炊して栄養価の高い料理を作ったりするなどをしています。もともと大学はスポーツ科出身で、アイスホッケーをやっていたので、特に違和感なく取り組めていますね。
− 取り組む際のポイントは?
なりたい姿から考えている、ということです。単に運動しよう、良いものを食べようということではなくて、適正な体重はどれくらいだろうとか、どういう状態であればいいのか、とか。そういった理想形から逆算して、運動や食事に取り組んでいるというのが自分なりのポイントです。
− 健康経営のメリットは?
チームに分かれて実施しているので、業務内容が違う人でも話す機会ができるのが最大のメリットだと感じています。仕事上では一言二言しか話さない人でも、何気ない会話が生まれたり、社内SNS上でコメントし合ったりなど、コミュニケーションが生まれるのが嬉しいですね。だから健康経営は、個人の健康というよりも、組織の活性というところで実感が大きいです。
4-2:宮田吉朗の場合(入社2年目)
− 取り組んでいることは?
一日10km、毎月300km走っています。もともと、これまでそんなに運動していなかったということもあり、正直なところ、最初は運動することに抵抗がありました。ただ、やり始めるとタイムが速くなったり距離が延び始めたりと、結果が目に見えて出てきたので楽しくなりました。
− 取り組む際のポイントは?
習慣化するということです。運動する、という時間を意識して作ることによって、一日の活動にメリハリがつきます。逆に運動をしないと、夜遅くまでダラダラと過ごしてしまったりするので、意識して取り組み、習慣にすることが大事だと思っています。
− 健康経営のメリットは?
これはランニングの効果とも言えるのですが、ストレスの低減や自己肯定感に大きく影響していると感じています。目標を決めて達成すると自信にもつながるので、それが仕事のパフォーマンスにも活かされています。また大事なのは、共有する仕組みと風土があること。社員間で共有し、努力や目標達成を承認する風土があるので、積極的に取り組むことで周囲の目も変わってきます。これは会社として取り組む健康経営だからこそだと感じています。
5:まとめ
いかがでしたでしょうか?最後にポイントをまとめてみましょう。
・健康経営は、経営視点で取り組むこと
・個人の健康だけではなく、会社全体を健康にしていくもの
・チームや組織を巻き込む仕組みが大切
会社全体が健全になることで、事業やサービス、良い仕事を持続的に生み出すことができます。同時に、私たちが掲げる「MAKE NEW
STANDARD.」においては、不健康な働き方や組織では、世の中の新基準となるサービスも生まれないと考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
いま一度「会社の健康状態」を考えていただきつつ、より持続的な企業づくりの一助になれればと願っています。